ビジネスマンとして働いていると、よく「事実」と「解釈」という言葉を耳にします。
なぜこの言葉をよく聞くのかというと、
「事実」と「解釈」を区別することはビジネスを行う上でとても大切な概念だからです。
この記事では、「事実」と「解釈」という言葉の意味を説明するとともに、「なぜビジネスマンにとってこの概念が大切なのか」について触れていきます。
この記事を読了する頃には、ビジネスシーンで使われている「事実」と「解釈」についての知識が深まり、実際のビジネスにどう活用していくかが理解できているはずです。
それでは見ていきましょう。
1.「事実」と「解釈」の違い
まず「事実」と「解釈」とは何かについて、解説していきます。
①「事実」とは何か
「事実」とは何か。
goo辞書によると、下記の定義でした。
事実
実際に起こった事柄。現実に存在する事柄。
goo辞書
つまり、
「事実」とは「実際に起きていること」であり、「起きていないこと」は「事実」ではない
ということです。
言い換えるのであれば、「客観的に誰が見ても変わらないもの」と言えます。
②「解釈」とは何か
では次に、解釈とは何か。
解釈
1.言葉や文章の意味・内容を解きほぐして明らかにすること。また、その説明。
2.物事や人の言動などについて、自分なりに考え理解すること。
goo辞書
つまり「解釈」とは、
「事実をわかりやすいように自分なりに自分の頭で考えたこと」
ということです。
言い換えるのであれば、「主観的で人によって見方が変わるもの」と言えます。
2.【具体例でわかる】事実と解釈の違い
定義は分かりましたが、「それって具体的にどういうこと?」というのが分かりづらいので、事例を見てみましょう。
【事実】
花がコンクリートの上で咲いている
【解釈】
花が元気そうにコンクリートの上でも逞しく咲いている
実際に起きている事実は、「花がコンクリートの上で咲いている」ということですが、そこに赤字で書かれているように「主観的な見方」が加わっています。
「元気そう」や「逞しく」というのは、その花を見た人による個人的な主観(感覚)なので解釈となります。
▪️「事実」と「解釈」を区別するには
「事実」は具体的な数値などで明確になっており、誰が見ても異なる判断を生まないものです。
一方で「解釈」は個人の主観(感覚)が含まれており、人によって捉え方が異なるものです。
具体例を挙げるならこんな感じ。
【事実】
今日の気温は10°C
【解釈】
今日は寒い
「今日の気温は10°C」というのは、誰から見ても同じ情報。
一方「今日は寒い」というのは、人によって感じ方が異なるものです。
上記のように、
「事実」は「具体的な数値、あるいは誰が見ても同じ情報」
「解釈」は「抽象的な情報、あるいは人によって捉え方が異なる情報」
と理解しておくと、区別しやすくなるのでおすすめです。
3.ビジネスマンにとって「事実」と「解釈」の区別が大切な理由
では、なぜビジネスマンにとって「事実」と「解釈」の区別が大切なのでしょうか。
結論から言うと、ビジネスマンで「事実」と「解釈」を混同している人は、
「仕事を上手く進めることができません」。
なぜならビジネスは「解釈」のみをもとに進めると、他者と自分の認識に齟齬が生じてしまい、どこまで行ってもお互いの同意が得られない状況になってしまうからです。
それは普段のビジネスシーンでもよく見られます。
どんな状況になるか、事例を見てみましょう。
①【具体例】「解釈」のみで話が進んでいる場合
上司 「他社の分析、進めておいてくれる?」
部下「わかりました。進めておきます。」
〜2時間後〜
上司「さっき頼んだ他社分析の資料できた?」
部下「いえ、まだできてません。」
上司「えっ?今から始まる会議に使うんだけど!」
部下「すみません明日使うものだと思ってました。」
どうしてこんなことが起きてしまったのでしょうか。
分かりやすく、お互いの心の声を踏まえて見ていきましょう。
上司 「他社の分析、進めておいてくれる?」
(心の声)「2時間後に他社分析について話す会議があるから、そこまでに用意してくれるだろう。」
部下「わかりました。進めておきます。」
(心の声)「余裕ありそうだし、明日までに準備してれば大丈夫かな。」
「相手がわかってくれているだろう」という上司の思い込みと、
「明日までに用意すれば大丈夫だろう」という部下の思い込み
が混在した結果、お互いの認識にズレが生じ仕事がうまく進まない状況となってしまいました。
「解釈」=事実に「思い込み」を加えたものと考えると分かりやすいかもしれませんね。
大袈裟かもしれませんが、このような状況は社会人になると本当によく見られる状況です。
大袈裟でもなんでもなく、日常で頻発している状況なのです。
②仕事を上手く進めるためには
仕事を上手く進めるためには、お互いの「思い込み」を排除して会話を進める必要があります。
例えば、上司は「2時間後に会議があるから、そこまでに資料を用意して欲しい」と伝えれば、このような状況にはきっとなっていないでしょう。
部下は「いつまでに用意すればいいですか?」と一言聞けば、認識のズレを回避できたはずです。
自分、または相手が話している内容は、
「事実」なのか、
それとも
「思い込みが入っている解釈」なのか。
もしあなた自身が、事例のように「思い込みが入っている解釈」を話しているのであれば、その思い込みを排除した事実を伝えなければ相手には伝わらないと言うことを理解しておきましょう。
ただし自分では気をつけていたとしても、上司からの「思い込みが入っている指示」というものはどうしても避けられないものです。
そのような場合の対処法については、別記事で紹介しておりますので是非そちらをご覧ください。
4.「解釈」が相手に伝わらない理由
では「解釈」を話しても相手に伝わらないのはなぜでしょうか。
結論から言うと、「人はそれぞれ個人的な感覚を持っており、その感覚は他者とは異なるから」です。
つまり、
「自分がわかっていることは、同じように他人もわかっているわけではない」
と言うことなんですね。
当たり前のことなのですが、意外とこの現実を直視していない人が多いです。
直視しなかった結果、相手に自分と同じレベルの理解度を求めているのです。
しかしここまで述べてきたように、自分の解釈が相手にも伝わるとは限らないのです。
そのため、「このくらいはわかるだろう」と勝手に相手のことを推測することをやめ、相手の立場に立って話をすると言うことがとても大切になってきます。
5.「事実」と「解釈」を区別できる能力を活かせば評価に繋がる
本記事で説明してきたように、「事実」と「解釈」を区別できる能力は、ビジネスマンが仕事を進める上でとても大切な能力です。
しかしとても大切な能力にも関わらず、この概念を理解していないビジネスマンが本当に多く存在しています。
部下の立場でこの能力を身につけていない場合、
上司が望んでいる納品物を作成できる可能性が大きく下がり、評価が下がってしまいます。
上司の立場でこの能力を身につけていない場合、
自分の思っている通りに仕事を進めてもらえず、仕事の進みが遅延します。
逆に言えば、この能力を身につけておくことで、飛躍的に自身の会社での評価を高めることができます。
ぜひ本記事を繰り返し読んでいただき、ご自身のスキルアップに繋げてみてください。
実践したあなたが、評価されるようになることを心から願っています。
Last Updated on 2023年7月18日 by ひらや
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